まず、今回使っていく 3 つのソフトウェアを紹介します。
SDL (Simple DirectMedia Layer) は Loki Entertainment Software 社 のプログラマ Sam Lantinga 氏 らによって開発されたマルチメディア用途のライブラリです。 グラフィックス, サウンド, ジョイスティック, スレッド, タイマーなどの機能を扱うことができ、しかも同じソースコードをコンパイルし直すだけで複数のプラットフォームでプログラムが動作します。 Loki 社のゲームをはじめ、多くのゲームやデモなどが SDL を用いて作られています。
OpenGL は Silicon Graphics 社 が中心となって開発した汎用の 3D グラフィックスライブラリです。 高品位な出力が得られ、なおかつ高い移植性があります。 ただし、ウィンドウ処理などの機能はなく (プラットフォームに依存しないようにするため)、それについては SDL を利用します。
Cygwin は Windows 上で UNIX のような環境を実現するソフトです。 何故これを使うかというと、
からです。 また、せっかく大学に入って UNIX を使う機会が増えたと思いますから、ここで使ってみるのも悪くないでしょう。
これから環境構築の説明をしますが、これは Windows 用です。 MacOS だとちょっと面倒ですが Adas さんのページ を参考にすれば何とかなると思います。 また UNIX (Linux など) では Cygwin が不要な他は一緒です。
なお、以下で諸々のソフト (50MB 程度) をインターネットからダウンロードすることになりますが、 もしよければそれらを CD-R に焼いてお渡ししますので、 直接またはメールで筆者までご連絡下さい。
Cygwin の公式サイトへ行きましょう。 すると「Intall Cygwin Now」というリンクがあります。 ここからインストーラ (setup.exe) をダウンロードして、適当なディレクトリ (仮に C:\cygwin-setup とします) に置きましょう。
setup.exe を起動します。 で、
ダウンロードしたパッケージをインストールします。
setup.exe を起動します。 で、
UNIX で、自分の作ったファイルを置いておく場所をホームディレクトリといいます (学校の環境だと /home/g123456 ってやつです)。 Cygwin でもこれを設定しておくと何かと便利なので設定します。 たとえば C:\home\nobita をホームディレクトリにするなら :
set HOME=C:\home\nobita
という行を追加で OK です。
ということで、とりあえず Cygwin が使える状態になりました。 インストールしたディレクトリ (C:\cygwin) の cygwin.bat を起動すればコマンドプロンプトが出ます。
SDL を使う前に、UNIX でのプログラミングは少々変わったところがあるので、Hello World を例にとって流れを説明します。
まず、次の古典的なプログラムを ~/hello.c に保存します。 エディタは何でも適当に。
#include <stdio.h> int main() { printf("Hello, World!\n"); return 0; }
コンパイルします。 UNIX では大抵の場合 GCC (GNU Compiler Collection) というコンパイラが標準で入っており、今回もこれを使うことにします。 一応
$ gcc hello.c
とすればよいのですが、デフォルトだと実行ファイルの名前が a.out になってしまうので、次のようにオプション -o (output の略) をつけて hello という名前にします (ちなみに UNIX では実行ファイルに特定の拡張子をつけることはありません) :
$ gcc -o hello hello.c
そして実行します。 UNIX では、カレントディレクトリにあるファイルを実行する場合、ファイル名の前に「カレントディレクトリの」を意味する「./」というのを付けなければいけません (一応理由があるのですが、ここではあまり関係がないので省略)。 というわけで :
$ ./hello Hello, World!
Hello, World! と出れば OK です。
SDL の公式サイトへ行きましょう。 Download - SDL 1.2 の「Source Code」から SDL-1.2.4.tar.gz をダウンロードしてホームディレクトリに保存します。 そして :
$ mkdir /usr/local/src $ cd /usr/local/src $ tar zxf ~/SDL-1.2.4.tar.gz $ cd SDL-1.2.4 $ ./configure $ make (なお、ここの make はかなり時間がかかります (特に Windows 95,98,ME)。勉強でもしてましょう) $ make install $ cp /usr/local/lib/SDL.dll c:/WINDOWS/SYSTEM/ (Windows 95,98,ME,XP の場合) $ cp /usr/local/lib/SDL.dll c:/WINNT/SYSTEM32/ (Windows NT,2000 の場合)
インストールできたかどうか試してみましょう :
$ sdl-config --version 1.2.4
SDL のバージョンが表示されれば OK です。
というわけで、お疲れ様でした。 今回は地味な話ばっかりで退屈だったと思いますが、次回からは本格的な内容の方に入っていきます。 どーぞご期待ください。