TeX分科会第四回

今回はTeX文章中に、ほかのソフトで作った画像を挿入する方法を紹介します。

空白を表示させる

たとえば、縦方向に5cmの幅をあけたい場合は

\vspace{5cm}
  

あるいは

\vspace*{5cm}  
  

という命令を使います。この二つの差はvspaceと{5cm}の間に"*"の文字が入ってるだけで 何にも変わりは無い…なんてことはなく、微妙に差があって、\vspace{5cm}はページの 上端に開くスペースは省略してしまうので、実際に文章中に5cmの隙間を確保したい場合には \vspace*{5cm}を使用します。

さて、これで文章中に空けたいだけのスペースを確保する方法が分かりました。 あとは、文章をプリントアウトした後、改めてほかのソフトでできた画像を別に 印刷して、糊とはさみを使って切り張りすればOKです。これで今回の内容は以上です。

…とはいかないので、続いて\includegraphics命令を使った 図の挿入を扱います。ですが、忘れないでください。この糊とはさみを使った手法は 以外に有効なので、とりあえず手っ取りばやく済ませてしまいたい場合など、意外と重宝するものです。

ほかのソフトで作った図をLaTeX中に取り込む

ほかのソフトで作った画像の類は、いったんファイルに保存した後、LaTeX文章中に取り込む ことができます。
LaTeXで取り込むことのできるファイル形式は、出力ソフトによって異なってきます。たとえば、 dviout for WindowsはEPS,WMF,EMF,PBM,BMPなどが扱えます。ただ、Windows以外でも安心して使える ファイル形式はEPSだけです。EPSはLaTeXに限らずDTPの分野で広く使われています。 以下ではファイル形式をEPSに限って説明します。

なお、EPSファイルを準備する方法はここでは説明しません。ですが、学校のiMacにあらかじめ 準備されているPhotoshopElementsならEPS形式で保存できるはずですので、とくにEPS形式で ファイルを準備するのに困ることは特に無いでしょう。

\includegraphics

さて、LaTeXでのグラフィックスの取り込みにもいくつか方法がありますが、ここではgraphicx パッケージを使った方法を説明します。まず、これを使うにはプリアンブルに

\usepackage[dvips]{graphicx}
  

と書いておきます。

実際にファイルを取り込むには\includegraphicxという命令を使います。 たとえば、文章ファイルと同じフォルダ(カレントディレクトリ)にihi.epsという EPS形式の画像ファイルがあったとしましょう。これをLaTeX文章中に取り込むには次のようにします。

\begin{center}
	\includegraphicx[width=5cm,clip]{ihi.eps}
\end{center}
  

これでOKです。
一応簡単に説明しておくと、width=5cm,clipは幅5cmで、描画領域にあわせて画像をクリッピングしろ ということを示しています。widthの代わりにheightも使えます。また、幅や高さの指定の後には clip以外にも指定できるオプションが存在し、たとえば

\begin{center}
	\includegraphicx[height=8cm,width=5cm,keepaspectratio,clip]{ihi.eps}
\end{center}
  

とすれば、画像の縦横比(aspect ratio)を保ったまま8x5cmの長方形の中に収まるように、 画像を拡大・縮小します。

figure環境

さて、実際に図をLaTeX中に配布する場合figure環境を使うのも便利です。たとえば

図\ref{fig:ihi}はkaicho-のトレードマークである。
\begin{figure}
	\begin{center}
		\includegraphics[width=5cm,clip]{ihi.eps}
	\end{center}
	\caption{イヒ!}
	\label{fig:ihi}
\end{figure}%
  

として、このファイルをTeXにかけると、一回目はとりあえず 「図??はkaicho-のトレードマークである。」と表示し、図のすぐ下には 「図1:イヒ!」のように見出しを表示します。
そして、改めてもう一度TeXにかけるとさっきは「図??」となっていた部分が 「図1」となります。図の下に振られる通し番号と、文章中に書く図の番号の対応付けを 自動的にしてくれるので、文章中の図が多くなってきたときなど、便利だと思います。

(2回TeXにかけなければならないのには、もちろん理由があるのですが、 これは今後のテキストで説明します。…多分。)