今回はTeXを使って数式を表示させてみます。
数式は、数式モードの中に記述されます。 数式モードにはインライン数式とディスプレイ数式の二種類があり、 状況によってこれらを使い分けることになります。 これら二つの数式モードの違いを大雑把に言えば、 インライン数式を使った場合は前後に改行を伴わず、 一方ディスプレイ数式を使った場合には前後に改行を伴い数式用の独立した行をつくる、 ということです。
インライン数式は$$で、ディスプレイ数式は\[ \]ではさむことにより表現されます。
簡単な例を示します。文章は\begin{dovument}と\end{document}の間に書らきます。
\documentclass{jarticle} \begin{document} インライン数式で表示させるときには$ y = ax + c $のようにします。 ディスプレイ数式で表示させるときは、 \[ y = ax + b\] のようにします。 \end{document}
数式モード中で数式を書くと自動的に足し算+、引き算-、 等号=の両側の空きなどが微妙に変化し、数式を記述するのに最適な空きができます。 逆に、数式モード中で普通に英単語などを書くとおかしな表示になってしまいます。
数式モード中では、ほかにもいろいろな表現ができます。 まずは、累乗、添字の表示方法を見ていきましょう。
とはいっても、累乗を使う場合には累乗を表示させたい文字の後ろに^を書けばいいだけです。 例えば累乗x2 は$x^2$と書きます。 しかし、x10と表示させたい場合に$x^10$と書くとx10となってしまいます。 これを回避するためには、$x^{10}$としなければなりません。 このグループ化のための{}はしばしば忘れられてしまうことがあるので注意しましょう。 また半角で}と書くべきところを}のように全角で書いてしまうミスも多いようです。
添字も累乗の場合とまったく同じで、^を用いる代わりに_を使えばいいだけです。 例えばaijと表示させたければ、 $a_{ij}$とします。
分数(fraction)を書く命令は\frac{分子}{分母}です。
たとえば
\documentclass{jarticle} \begin{document} \[ y=\frac{1+x}{1-x} \] \end{document}
と書けば分数がと表示されます。
では、と表示させてみます。 次のように入力すればOKです。
\documentclass{jarticle} \begin{document} \[ \sum_{k=1}^5 a_k = a_1 + a_2 + a_3 + a_4 + a_5 \] \end{document}
ここで、\sumとはを表示させるための命令です。
ここまでくれば、あとは複雑な数式もここまでの応用で簡単に出力することができます。 たとえば次のように入力してみたところ
\[ \left(\int_0^{\infty} \frac{\sin x}{\sqrt{x}}dx\right)^2 = \prod^{\infty}_{k=1} \frac{4k^2}{4k^2 -1} = \frac{\pi}{2} \]
のような出力が得られました。 なお、後で説明しますが、上記の例における数式中の改行は無視されています。 (改行が二回連続して続くと別の意味になります)