Buho No.214 目次

MP3といふモノ 第一回

〜HDK(Haijinn Development Keikaku)〜

わいりー


ここでは最近になってパソコン雑誌各紙でも話題になっている、 MP3を取り上げたいと思います。 一回で書ききるのはとても無理ですので、とりあえず今回はさわりだけ……。

接触

初めてMP3なるものを聴いたのは、新入部員として305へ来たときでした。 なんかCD並みのクオリティの音楽がパソコンから鳴っています。 とはいえ、CD-ROMドライブのアクセスランプはついていません。 曲数は普通のアルバムなどより多くが表示されていますので、 まさかCDを生のPCMデータとしてハードディスク上に取り込んだとも思えません。 そんな容量あるわきゃない。 その不思議なモノ、それがMpeg-Audioでした。 雑誌などがMP3を取り上げ始めたのは最近のことですが、 当時305ではこのようにMpeg-Audioが流れていましたし、 部報にはあじさんによる詳細なMpeg-Audio解説記事が書かれ、 MP1,2のエンコーダ、デコーダの開発さえ行われていました。 うーん、なんて廃な。 この記事は技術的に極めて詳しいもので、純粋に廃なことしか書かない 今回の記事より余程ためになると思います。(ぉ

Mpeg-Audio

さてここまでMP3とMpeg-Audioという言葉が出てきましたが、 MP3の正式名称はMPEG-AUDIO/Layer3であり、MP3はMpeg-Audioの一形式なのです。 MPEGという映像圧縮方式が存在することは割と知られていると思いますが、 このMPEGの音声部分の圧縮を担当するのがMpeg-Audioなのです。 Mpeg-AudioにはLayer1から3までの規格があり、 新しいものほど、同音質なら圧縮率を上げることが可能なようになっています。 圧縮原理などについては次回以降へ回しますが、 大体MDと同じようなモノと思っておいてください。 MDはデータ圧縮を用いることで、あのサイズを実現してるわけです。 したがって、「MP3の音質がCD並み」と言われることはありますが、 正確には「MD並み」です。 実際にはオーディオ機器と比べて遙かに貧弱な、 パソコン用サウンドカードとスピーカーの組み合わせで再生されることが多いので、 MD並みは難しい気が……。 もし私の記憶が正しければ(ぉ、 Mpeg-Audio/Layer1はDCCに採用されていたような。 いまや誰も知るもののないDCC( Digital Compact Cassette)ですが、 これはMDの対抗規格としてフィリップス辺りが開発したものです。 DCC用のデッキで従来のカセットも再生出来るのがウリでしたが、 テープなので頭出しがめんどい、とか従来カセットとの互換性にこだわったため 目標性能が出ない、とかの問題により、結果は現在見る通り。 DCCの件から考えても分かるように、 MDの圧縮方式と原理的には多分一緒だと思います。

利点

MP3の利点は

です。 パソコン上で扱えるので、 MDなどというせいぜい十曲ちょいしか入らない上に高価なメディアを使わずに、 MOやらCD-Rやらに100曲単位でガンガン保存できますし、 チェンジャーなんぞ使わなくても100曲連続再生なんぞはさくっと出来ちまいます。 十分の一ぐらいに圧縮できるので、CD-Rならアルバム十枚程度が収容でき、 大抵のアーティストなら、全曲入りCD-Rの作成が可能です。

(例)エヴァンゲリオン全曲入り(作成済み)
X-Japan&メンバーソロ全曲入り(作成計画中)
お気に入りビジュアル系アーティスト萌えCD-R(私は作らんぞ)
(無理と思われるもの)サザンオールスターズ全曲入り(多分収まりきりません)

地下

非常に便利かつ廃なモノであることがわかっていただけたかと思いますが、 MP3には常に「アングラ」というイメージがつきまとって来ました。 その経緯については次号以降で詳しく話したいと思いますが、 一番問題化したのは「MP3データのネット上での流通」です。 一曲が数メガなので、 テレホとか専用線があればさくっとダウンロードして聞けてしまいます。 アメリカでは「勝手にCDから作ったMP3データをネットで撒いたら賠償命令」 になりました。 まあ確かにおおっぴらに撒かれた日には、 アーティストは飯の食い上げですからな……。 最近は新曲の一部とか、小サイズ&低音質モードで作成したMP3ファイルを WEB上でのプロモーションに使ったり、 YMOのように、 自らYMO全曲入りCD-ROM(ただしFMラジオ音質)を 出したりしてるアーティストもいます。 別に規格自体には何ら違法性はないのです。 「MP3=アングラ」みたいにあおる雑誌を信用したりしないように。:> JASRACあたりは個人によるデータ作成も規制したがってような気がしますが、

「ふざけんな」

との言葉を送っておきましょう。(ぉ

では今宵はこの辺で。


今野 俊一 (こんの, knn) <toknn@ijk.com>, <knn@ebony.plala.or.jp>
東京大学 工学部 計数工学科(内定), TSG(理論科学グループ)