TeX 関連分科会

文殊壱平


編集たいへん

まず,企画の出自と意図を明らかにしておきます。

別に文句を言う筋合いのものではないのですが, 今回この部報に寄せられた記事はほとんどがいわゆる plain text でした。 「ぶほ」は最終的にすべて TeX で処理されていますので, これを .tex ファイルにしてやる必要があるわけですが, 慣れているはずのこの作業に, 1 思いのほかてこずりました。 短いもの,あるいは平文ばかりが続く日本語文なら ほとんど一瞬で終わるのですが, どうしても TeX になじまない表現技法が確実に存在して, 必要以上の負担になってしまっているらしいのです。

本来,編集作業というのはそういうものなのです。が, ここはそれ,TSGというサークルの性格に思いをめぐらすと, できることならば,単純作業は必要最小限の時間で終えて, ぶほ開発キット(BDK)の継続開発の方に 時間を割きたいわけです。

そこで,原稿をお寄せいただく皆さんに,少しでもTeX の基本を理解して もらうための糸口として,TeX でできることは何か, 無理すればできることは何か, できるけど普通やらないことは何か, どう逆立ちしてもできないことは何なのか,といった感覚を 身につけていただこうという意図をもって,この分科会を企画しました。

第一分科会

まず,新一年生を主眼とした,TeX の入門パートを 用意します(8割程度の確からしさで実現予定)。 特に理系の場合,情報処理の授業でとっととTeX を利用することになる ケースが少なくないですし, 夏学期のレポート提出シーズンまでに先述のような 「TeX の得意分野」を把握しておくことは大きな武器になります。 また,熊本教官(英語II)のように、 レポート提出に

(j)LaTeX 2.09 推奨!

というような奇抜なケースもないとは限りません。きっと 役に立つでしょう。

第二分科会

もう一本は,まだ実現性の薄い構想段階ですが, 自分の体に余裕があればぜひ始めてみたいと思っているものです。

かれこれ一年近くTeX に触れて, およそTeX やプログラミングの基本を理解している二年生, および,すでにTeX やプログラミングに親しんでいる新一年生 2 を巻き込んで,第一分科会の

レクチャーする側

になってもらおうという企画です。 TeX に限らず,プログラミングからエディタ操作に至るまで, コンピュータを使うために必要な概念を,なるべくわかりやすく 初心者に伝えるための工夫を模索します。 ……ちょっとそこ,逃げないで,まずは聞いて下さい。

どうしてこの説明でわからないんだ!

たとえば,TeX やHTML,SGMLなどについて,よくこんな具合に 説明します。 「文書の論理構造のみを指定し, メディア(紙の大きさなど)や出力デバイスに極力依存しないことを よしとするシステムで……」

しかし,この説明でわかってくれる人はあまりいません。

といったことがらを少しでも知っていなければ, さっきの説明はほとんど外国語に聞こえます。

きっかけとしてのTSG

逆に,基礎がわかってくれば,(もしほんとうにコンピュータに 興味があるのなら)自力でより高度な技術を身につけようと いう力がわいてくるものです (授業スタイルで無理に教え込むのも悪くないのですが, 各自が「知りたい」「調べたい」と思うきっかけを 与えてあげることのほうが大事です)。

そういうきっかけ作りを,サークルぐるみでしてあげられたら 素敵だと思いませんか。 そして,コンピュータの世界に独特の概念を習得するのに, TeX は具体例を多く与えてくれるので,なかなかよい素材となります。

そこでこの分科会です。実現すれば, 活動の場はメーリングリスト上とし,公開討論形式で行います。 コンピュータの(TeX の,ではなく)中級者以上を自覚している方は, なるべく全員参加してください。 最初の方は,第一分科会で使うテキスト(のようなもの)の デバッグがメインの活動になると思います。

メーリングリストの確保がまだですので,

246-netユーザの方,またよろしく

お願いします。 3


TeX nical Support Group(TSG)を目指しましょう。

1) 思い起こせば高1の文化祭のときから。……やってることが進歩してないよなぁ。
2) そんな新機軸な新入生は滅多に入ってこない? いやいや,わかりませんよ。
3) それが無理ならば,両国の巨匠にお願いする予定です。もしそうなった場合は,そうぞよろしくお願いいたします。

今野 俊一 (こんの, knn) <toknn@ijk.com>, <knn@ebony.plala.or.jp>
東京大学 工学部 計数工学科(内定), TSG(理論科学グループ)