本来のホロスコープ*1を用いた占星術の起源は紀元前2000年もの昔までさかのぼることが出来る。
古代人の天文観測によって、他の規則的な星の動きとは全く違う星が発見された。それらが、太陽、月、そして5つの惑星であった。人々はこれらの星を宇宙の法則を超越した星として、神に従う7人の天使の象徴と考えたのだった。
星座とはなにか。それは紀元前数百年の頃、ギリシャの天文学者によって春分点を基準に黄道を12等分して割り当てられたものである。また、それぞれに黄道が通過する星座の名前がつけられている。この12星座の簡便性と占星術が融合して12星座占星術が出来上がった。すなわち、星の位置をたった12個の星座の名前だけで表現できるのである。
しかし、これは同時に弊害をも生んだ。本末転倒なことに、星座はそもそも星の位置を表現するものに過ぎないにもかかわらず、それがないがしろにされ、占いにおいて星座の神話や象徴ばかり使われるようになってしまったのだ。
現代では昔と惑星関係に多少ずれが生じており、実際に観測してみると太陽の通り道 (黄道) 上には13の星座があることがしばらく前イギリスで報道された。そこに端を発して「13星座占星術」が新たにつくられ、広がっていったのである。
13星座占星術では、黄道を13の星座に分割する。ただし、等分するのではなく実際にその星座が黄道上に占める大きさを比例させて区切っている。この点が12星座と大きく異なる点である。つまり、星の位置と星座の対応が実際の天球と一致するのである。古代占星術により忠実な占いと言えるであろう。
12星座では失われかけていた占星術の精神を13星座では復活させている。この意味で、13星座占星術はこれからの占星術に大きな影響を与える存在であることには間違いない。
今年のTSGの占いではこの「13星座占星術」を行います。生年月日・時刻・場所をもとに太陽と月と惑星の位置を計算し、それぞれ13星座に分類して占います。
得られる結果は、占星術的観点から見たあなたの基本的運勢です。絶対的な未来を予告するものではありません。つまり、その「運勢」を見て信用して傾向と対策を練ってみるか、無視してなにもしないでいるかはあなた自身に委ねられているのです。
幸運を祈ります。
tcommand はユーザの命令を OS*2に伝える、シェルと呼ばれるプログラムです。一般に DOS で使われている command.com と、UNIX や BSD で使用されている高性能シェル tcsh を合わせたような仕様になっています。98、AT互換機の DOS または Windows 95 で動作します。ぜひ、ご覧になってください。
皆さんTSGにようこそ。そしてこのRPGに興味を持ってくれてありがとう。我々は長いことこのRPGを作ってきました。その間にはプログラマのバグとの格闘、グラフィッカーの終わり無きドット絵打ち、ゲームデザイナーの果てしないデータづくりなど様々な苦闘の歴史があったのです。その結晶がこの完成した(本当に完成しているんだろうか?)RPGなのです。
どうぞ遊んでいって下さい。家でやりたい人は持って帰って下さい。そして何かを感じ取ってくれたら幸いです。
今年の駒場祭のメイン出し物の一つがこのRPGです。RPGそのものについての説明は不要だと思いますが、一応何も知らない方のために言っておくと有名な「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」などのゲームを一般にRPGと呼んでいます。ただ、今回展示したこのRPGはそれらのメジャーなRPGとは少し違っており、かなりテーブルトークRPG的な要素が含まれています。
もともとコンピュータRPGはテーブルトークRPGと言うものから生まれてきました。テーブルトークRPGとは、一人のゲームマスター(進行・判定役)と何人かのプレイヤーが対話を進めながらテーブル上でプレイするRPGです。展示してあるRPGのゲーム展開は「ドラゴンクエスト」などの一般的なRPGとは異なり、テーブルトークRPGのように基本的に「仕事を請け負う」事から始まります。主人公たちは正義の味方でも何でもありません。ただ冒険をすることで生計を立てているだけの人であり、請け負った事件を解決して経験値とお金を手に入れていくわけです。ただ、今回展示した物では制作期間の関係上シナリオは少ししか用意されていませんので、遊ぶためにはいやでも特定のシナリオをプレイしなくてはなりません。すみませんでした。
また、このゲームのデザインは私が担当しましたが、私は「タクティクス・オウガ」というスーパーファミコンのソフトを非常に気に入っているので、そのゲームの影響も受けています。例えば戦闘はタクティカルコンバット(どんな物かは実際に画面を見て下さい。)であり、しかも行動の順序を決定するのはWT(ウェイトターン)です。これらの設定が戦闘の緊張感を高めてくれます。
あと特筆すべき特徴は「死人は基本的に生き返らない」ことでしょう。普通のRPGではキャラが死んでも少し金を払うとすぐに生き返ってしまいます。しかしこの設定はいかにも理不尽ですし、しかもゲームの緊張感もそいでしまいます。復活を基本的に不可能にすることでゲームとしては難しい物になりますが、その分だけスリルある面白い物になるでしょう。
キャラクターは以下の6つの能力値によって特徴づけられます。
筋力(STR)・頑強さ(TAF)・器用さ(DEX)・素早さ(AGI)・知力(INT)・魔法抵抗力(MRE)これらのパラメータはキャラクターを作成する際に決定します。その後変動することは(一時的な物を除いて)ほとんどありません。
盗賊スキル・剣スキル・斧スキル・弓スキル・白魔法スキル・黒魔法スキルがあります。戦闘で得られた経験値はその戦闘における行動に応じて各スキルに自動的に配分されてしまいますが、シナリオをクリアすることによって得られる経験値は自分で好きなスキルに配分できます。経験値が一定値以上になるとそのスキルレベルが1上がります。感覚としては経験値でレベルを「買う」ような物でしょう。
HP(体力)・MP(精神力)・EXP(経験値)・G(お金)などのパラメータが用意されています。HPが0になったら死亡です。
皆さんもゲーム作りには多少なりと興味がある物と思います。しかし、ゲームを作るのは非常に時間と手間がかかる作業です。私はこの企画に携わってつくづくそれを感じました。特にプログラマの方の負担が非常に大きかったような気がします。ひたすら要求された仕様をみたすようにプログラムを組み上げ、その後いくつあるかしれないバグとの戦いをしなければなりません。ちょっとした一人で作るようなミニゲームであればそこまで大変ではありませんが、こういった大規模で複数で作るようなゲームにはものすごい手間がかかってしまいます。
それでもやはりゲームを作るのは楽しい物です。自分の思っていた画面がディスプレイ上に現れ、動き出す時ほど嬉しいことはありません。ゲームが好きな人はぜひ一度オリジナルゲームを作成してみてはいかがですか?
このRPGの一般的な説明はこれで終わります。さらに細かいルールに興味のある方はもう一つの部報(203号)に載っているのでそれを参照してください。
最後に付け足しておきますが、ここで展示したRPGはベータ版であり、フリーソフトとして扱って結構です。完全版はそのうち公開すると思いますが、こちらは販売する可能性もあります。
それでは、ここまで読んでくださった読者の方々に感謝します。
Windows95が一般的になってしまった今日、DOSでゲームをやるなんて、、、、などとお思いの方も多いでしょうが、DOSでも結構愉快なことができます。特に最近の98は256色モードが全機種に搭載されており、コレはWindows95からではなく、直接DOSから制御することも可能です。今回この256色モードを使って対戦型3Dシューティングゲームを作ってみました。テクスチャがばりばりに張り付けたゲームが巷にあふれているのに、このゲームはフラットシェーディングはしていますが、テクスチャは張り付けられませんでした。(本来はつける予定だったんだけど、旨くいかなかったんです(ToT))そのためなるべく見栄えが良くなるように、爆発のアニメーションや追尾ミサイルのルーチンを工夫してみました。かなりスケジュールが立て込んでいる中で作ったモノなので、バランスなどは全く考えていません。ゲームをヤリ混んでいる人から見れば「くそゲー」と言われるかもしれません。私の自己満足で終わっているかもしれません。しかし、3Dゲームらしきモノにはなっていると思われるので、当日展示してあるのを見て石を投げたりしないで下さい(T_T)
もともとこのプロジェクトは、パンフにも載る正式企画だった訳ですが諸処の事情によりサブ企画となりました。企画の中心は本来私では無く、回りの小物(たとえばデバイスドライバ等)を作る予定でした。が、その首謀者が健康上の理由で開発から退き、私一人のみとなってしまいました。もともと地上でのドッグファイトを想定していたのですが、これを宇宙空間で戦うことにしてしまったりと、大幅に開発の予定を変更したおかげで、ゲーム性などの追求は全くなされていないと考えた方が良いです。
裏も表も愚痴ばっかりになってしまったね(;_;)
昨年御好評を頂いた理論科学シミュレーションをさらに楽しく綺麗なものに作り変えて今年も展示します。*3展示する作品についてわずかながら紹介いたします。
フラクタル (fractal) は無限に細かく複雑な形をした図形であり、しかも自己相似の性質のある図形です。そのような複雑な図形は実は非常に簡単な数式により作成されることがわかっています。
自然界を支配する方程式が簡単な形をしているのに、自然界の振る舞いは非常に複雑で、かつなんらかのまとまりがあるのも、フラクタルと強い関連があるからと思われます。
このプログラムは純粋に数理科学の問題として簡単な数式がもたらす驚くほどの複雑なフラクタル図形を描きます。その中の一つのMandelblot図形は複素点列の漸化式
Zn+1 = Zn2 + A
Z0 = 0
Zn, A ∈ C
において、A の値を複素平面のある領域内にとり、Znの点列が初めて |Zn| > 2 となる n を計算し、 A の位置に n に応じた色をプロットすることにより描かれます。これでこれほどの複雑な図形が描かれるのです。
プログラムではさらにフラクタルの不思議な美しさを満喫できるように、さまざまな機能が備わっています。約100兆倍までの拡大はもとより、周辺を眺めるための上下左右のスクロール機能や種々のフラクタル図形を瞬時に切り替える機能などが備わっています。フラクタルの奥の深さをお楽しみください。
学問的には「非圧縮粘性流体の円柱まわりの2次元流れ」のシミュレーションです。流体の計算の中ではもっとも基本的なものですが、流体の現象の理解にはもっとも効果的なプログラムです。
プログラムが計算する流れは、流れの中洲に円形の石がある場合の川の流れです。石によって流れがどう乱されるかを流れ関数渦度法により解いています。石の後方に時間とともに変化するカルマン渦列が生成されるのが観察できます。また石に振動する揚力が働くこともわかります。*4
座標形は指数型の極座標系 x = eξcosθ y = eξsinθ を用いています。流れ関数ψと渦度ωは以下の基礎方程式を満たします。
これにより得られたψをもとに速度 v と圧力 p が求まります。*5
速度や圧力の他にも、流れを可視化するため川に紅葉を流せるようにしています。物理と風雅をお楽しみください。
モビールとはヤジロベイが幾つも連なったような飾り物です。そのゆらゆら動くさまをコンピュータ上で解析するためのプログラムです。
任意の形のモビールをすぐさまシミュレートできるように、プログラムはモビールの形状よりその運動方程式を自動生成するように設計されています。*6
3次元の運動を解析して結果を表示するために、物理・数学・アルゴリズム・アセンブラを総動員して完成させた作品です。
お好みのモビールを作成して、その揺れ具合をお確かめください。
一般の家庭にですらパソコンが普及している現在において、科学の研究分野でのコンピュータの必要性はそれこそ至る所にあります。理論の組み立てや実験の分析にも、また論文の作成にもコンピュータやその操作技術は科学を発展させるために必要不可欠なものとなっています。
今回の展示をご覧になられて、みなさまがコンピュータの科学や普段の生活に及ぼす恩恵について理解を深めていただけたら幸いです。
どうもNishiです。去年の駒場祭はWindows用のゲームを作ろうとして破綻しましたが、今年はXサーバを作ってみました。(うそです。正しくは「作っています」です。)
Xサーバとは、簡単に言うと「Xプロトコルに基づいて、Xクライアントが要求する画面表示を行ったり、マウスやキーボードの入力をXクライアントに送るソフトウェア」のことで、Xクライアントとは「Xプロトコルに基づいて、Xサーバに画面表示を要求したり、マウスやキーボードの入力をXサーバから受け取るソフトウェア」のことです。(さっきの文章ひっくり返しただけだって(^^;)
図を描くとわかりやすいかな。
X サーバ | X プロトコル | X クライアント | ||
---|---|---|---|---|
← | リクエスト | ← | ||
画面表示 | → | リプライ | → | 実際のアプリケーション |
マウス・キー入力 | → | イベント | → | (ワープロやエディタ、表計算、ゲーム等) |
→ | エラー | → |
このシステム全体を、X WINDOW SYSTEMと言います。(この図ではXサーバとXクライアントが別のマシン上にあるように見えるが、別に同じマシン上でXサーバとXクライアントを同時に実行しても良い)
例を挙げてみましょう。
もし、あなたがパソコンや、ワークステーションの前に座ったとします。そのとき、あなたは画面に表示された文字や絵を見ることができますし、キーボードから文字を入力したり、マウスを動かしたりもできます。このとき、画面に文字や絵を表示したり、キーボードにあなたが入力した文字や、あなたが動かしたマウスの軌跡を読み取ったりするプログラムがXサーバです。
ここで、あなたは複雑な計算を要するコンピュータグラフィック (CG) を見たいと思いました。そこであなたはX WINDOW SYSTEM用のCGを計算し表示するためのコマンドをキーボードから入力しました。
その時Xサーバが行うことは、単にあなたの入力を他のプログラムに伝えることに過ぎません。あなたの入力はXプロトコルと呼ばれる規約に基づき変換され、Xクライアントと呼ばれるプログラムへ送られます。
XクライアントはXプロトコルに基づき変換された情報(これを「イベント」といいます)をうけ、CGを表示するためのプログラムを起動しました。
新しく起動したプログラムもXクライアントです。まず、このプログラムはCGを得るための複雑な計算を行わなければなりません。
計算は終わりました。XクライアントであるこのプログラムはXサーバに対し、あなたの前にある画面に絵を表示するために「リクエスト」を送ります。(これもまたXプロトコルに基づいたものです)
Xサーバはリクエストを受けあなたの前にある画面上にCGを表示します。
以上簡単ながら例を挙げてみました。(分かりにくくてごめんなさい。)Xでは、このように面倒くさいことを敢えて行います。これによるメリットがあるからです。
今の例では、CGを計算するまでに相当の時間が掛かると仮定しました。そこで、Xクライアントを動かすマシンをより高速なマシンとすることで、計算速度を上げることができます。この際、重要なのは、ユーザの前にあるXサーバはそのままで良い、ということです。
また、XサーバとXクライアント間でははXプロトコルという規約に基づいた通信が行われます。そのためこの2点間はネットワークで接続されていればよいので、ユーザは遠隔地にあるマシン上でもプログラムを実行できることになります。アメリカでXクライアントを立ち上げ、インターネットを通じ、日本のXサーバからそのプログラムを使うことも不可能ではありません。(実際にはデータ転送に時間が掛かかってしまい、ユーザの入力に対する反応が遅く、 使い物にはなりませんが(^^;)
OSから独立しているというのは、Xプロトコルに従っている限り、どの様なマシン・OS(例えばスーパコンピュータでもパソコンでも) X WINDOW SYSTEMが利用できるということです。従ってWindowsやMacでもXを利用することが可能であり、事実、例えばWindow用のXサーバは既に何種類もあり、一般に売られています。これを利用することでワークステーション上で動くプログラムをパソコン上から容易に使うことができます。また、あまり一般的では有りませんがWindows上で動くXクライアントを作ることも可能です。
これらの利点からX WINDOW SYSTEMはワークステーション等で広く使われており、世界標準とも言えるウィンドウシステムです。
興味のある方はぜひ御覧下さい。
発行者 金子 済
編集者 大岩 寛
HTML化 木原 英夫
発行所 東京大学理論科学グループ
〒153 東京都目黒区駒場 3-8-1
東京大学教養学部内学生会館 305
TEL 03-5454-4343